睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群

気づかない睡眠中の無呼吸が、毎日の体調や生活習慣病に関係しているかもしれません。
いびき・日中の眠気だけでなく、内視鏡検査中の呼吸状態や、糖尿病・脂肪肝などからも睡眠時無呼吸症候群の可能性を考えます。
「いびきが大きいと言われる」
「十分に寝たはずなのに疲れが取れない」
「日中、眠くなることが多い」
このような症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
本人が気づかないことも多く、ご家族からの指摘や、ほかの病気の検査をきっかけに発見されることもあります。
また、日中の強い眠気がなくても、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合があります。
当院では、自宅で行う簡易睡眠検査による評価と、CPAP(シーパップ)療法の導入・継続管理を行っています。
詳しい睡眠検査が必要な場合は、専門医療機関での入院による終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)をご案内しています。
当院では、胃カメラ・大腸カメラなど、多くの鎮静内視鏡検査を行っています。
年間数千人規模の患者様に内視鏡診療を行う中で、鎮静中の呼吸状態を観察する機会があります。
鎮静中には、いびきが強くなったり、上気道が狭くなったり、呼吸が不規則になったりすることがあります。
このような所見をきっかけに、これまで睡眠時無呼吸症候群を疑われたことがなかった患者様に、睡眠中のいびきや無呼吸について詳しくお尋ねすることがあります。
必要に応じて簡易睡眠検査をご案内し、実際に睡眠時無呼吸症候群が見つかる患者様もいらっしゃいます。
近年の研究でも、鎮静内視鏡中の気道閉塞や酸素飽和度の低下が、睡眠時無呼吸症候群の存在を疑う手がかりとなる可能性が報告されています。
胃や大腸の検査をきっかけに、これまで気づかなかった睡眠中の呼吸の問題に目を向けることも、当院が大切にしている診療の一つです。
※鎮静剤そのものの影響によって呼吸状態が変化することもあります。内視鏡検査中の所見だけで睡眠時無呼吸症候群を診断することはできず、必要に応じて睡眠検査を行います。
睡眠時無呼吸症候群は、肥満や糖尿病、高血圧症などと深く関係しています。
また、近年は脂肪肝(MASLD)や脂肪肝炎(MASH)との関連にも注目が集まっています。
睡眠中に低酸素状態を繰り返すことは、インスリン抵抗性や代謝異常などと関連すると考えられています。
当院では、一般内科・消化器内科・肝臓内科の診療も行っているため、脂肪肝や糖尿病、高血圧症などを診察する中で、睡眠時無呼吸症候群の可能性についても検討しています。
特に、次のような方では注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群を、睡眠だけの問題ではなく、全身の健康と関係する病気として考えています。
これらの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
ただし、症状が目立たない患者様もいるため、いびきや日中の眠気がないことだけで病気を否定することはできません。
※運転中に強い眠気がある方は、重大な事故につながる可能性があります。眠気がある状態での運転を避け、早めに医療機関へご相談ください。
睡眠中に、呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。
睡眠時無呼吸症候群には、主に次の2つのタイプがあります。
睡眠中に舌や喉の周囲の筋肉が緩み、空気の通り道である上気道が狭くなったり、塞がったりすることで起こります。
睡眠時無呼吸症候群の大部分を占めるタイプです。
脳から呼吸に関係する筋肉への指令が一時的に低下することで起こります。
心不全などの病気に関連する場合があり、閉塞性とは診断や治療方法が異なります。
睡眠検査では、睡眠中に無呼吸や低呼吸が1時間あたり何回起こるかを示す「無呼吸低呼吸指数(AHI)」などを用いて評価します。
一般的な成人の重症度分類は次のとおりです。
| 重症度 | AHI |
|---|---|
| 軽症 | 5以上15未満 |
| 中等症 | 15以上30未満 |
| 重症 | 30以上 |
AHIだけでなく、症状、酸素飽和度、合併症などを総合的に評価することが重要です。
また、簡易睡眠検査で得られる呼吸イベントの指数は、PSGによるAHIと必ずしも一いたしません。
睡眠中に呼吸が繰り返し止まると、血液中の酸素濃度が低下し、睡眠が分断されることがあります。
その結果、日中の眠気や疲労感だけでなく、全身の健康にも影響する場合があります。
高血圧症・心血管疾患との関係
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧症、不整脈、心不全、冠動脈疾患、脳卒中などと関連しています。
特に、治療しても血圧が下がりにくい高血圧症では、睡眠時無呼吸症候群が関係している場合があります。
糖尿病・代謝異常との関係
睡眠中の低酸素状態や睡眠の分断は、インスリン抵抗性や血糖調節の異常などと関連すると考えられています。
2型糖尿病の患者様では、睡眠時無呼吸症候群を合併していることがあります。
脂肪肝(MASLD・MASH)との関係
肥満や糖尿病などは、脂肪肝と睡眠時無呼吸症候群に共通するリスク因子です。
さらに、睡眠時無呼吸症候群に伴う間欠的な低酸素状態が、肝臓の炎症や代謝異常に関係する可能性についても研究が進んでいます。
ただし、睡眠時無呼吸症候群が脂肪肝を直接引き起こすことや、CPAP治療だけで脂肪肝が改善することが確立しているわけではありません。
当院では、肥満・糖尿病・脂肪肝・睡眠時無呼吸症候群を、互いに関連する健康上の問題として総合的に評価しています。
当院では、睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者様に、簡易睡眠検査を行っています。
専用の機器をご自宅で装着していただき、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度などを測定します。
普段の睡眠環境で検査できるため、入院する必要はありません。
簡易睡眠検査では、主に次のような項目を確認します。
検査結果から、睡眠時無呼吸症候群の可能性や重症度を評価します。
ただし、簡易検査だけでは十分な判断ができない場合もあります。
症状と検査結果が一いたしない場合や、より詳しい評価が必要な場合は、PSG検査をご案内します。
PSGは、睡眠中の脳波、眼球運動、筋肉の活動、呼吸状態、酸素飽和度などを詳しく調べる検査です。
簡易睡眠検査では確認できない睡眠の状態や、呼吸障害の詳しい評価が可能です。
当院ではPSG検査を院内では行っておりません。
PSGが必要と判断された患者様は、専門医療機関へご紹介し、入院による検査を受けていただきます。
その結果を踏まえ、当院でCPAP療法などの継続管理を行うことも可能です。
CPAP(シーパップ)療法は、睡眠中に専用のマスクを装着し、機械から一定の圧力で空気を送り込むことで、上気道の閉塞を防ぐ治療です。
中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する標準的な治療法の一つです。
CPAP療法によって、次のような効果が期待できます。
ただし、CPAP療法によって心筋梗塞や脳卒中を必ず予防できると証明されているわけではありません。
治療効果は、病気の重症度やCPAPの使用状況などによって異なります。
CPAP療法は、機器を導入するだけでなく、無理なく使い続けられるように調整することが重要です。
当院では、CPAPの使用時間や治療中の無呼吸・低呼吸の指標、マスクからの空気漏れなどを確認し、継続的な治療管理を行っています。
必要に応じて遠隔モニタリングを活用し、患者様の使用状況に応じた指導を行います。
マスクの違和感や鼻づまり、空気漏れなど、使用中のお困りごとについてもご相談いただけます。
※CPAP療法の保険適用には、検査結果などに基づく所定の条件があります。
軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群や、CPAPが使用しにくい方などで検討される治療法です。
就寝中に下顎を前方に保持することで、上気道を広げます。
適応を判断し、必要に応じて歯科・口腔外科と連携します。
肥満が関係している場合には、適切な減量によって症状が改善することがあります。
また、飲酒習慣の見直し、禁煙、睡眠姿勢の工夫なども重要です。
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合には、病状に応じてCPAP療法などを組み合わせます。
鼻づまりや扁桃肥大など、上気道の構造的な問題が関係している場合には、耳鼻咽喉科などでの診療が必要になることがあります。
適応が考えられる場合は、専門医療機関をご紹介します。
診察・問診
いびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気、起床時の疲労感などについて確認します。
また、肥満、高血圧症、糖尿病、脂肪肝などの合併症や、内視鏡検査中の呼吸所見なども参考にします。
簡易睡眠検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、ご自宅で簡易睡眠検査を行います。
検査結果の説明・治療方針の決定
検査結果と症状、合併症などを総合的に評価します。
必要に応じて、専門医療機関での入院PSGをご案内します。
CPAP療法の導入・継続管理
CPAP療法が適応となる場合には、機器の導入と使用方法をご案内します。
治療開始後は、使用状況や効果、困っていることなどを確認しながら継続的に管理します。
はい。睡眠時無呼吸症候群の患者様の中には、日中の眠気をほとんど自覚しない方もいます。
いびき、家族からの無呼吸の指摘、高血圧症などがある場合は、検査を検討することがあります。
はい。顎が小さい、下顎が後退している、上気道が狭いなどの骨格的な要因によって、肥満のない方でもSASになることがあります。
内視鏡検査そのものでSASを診断することはできません。
ただし、鎮静中のいびきや気道閉塞、酸素飽和度の変化などが、SASを疑うきっかけになることがあります。
必要に応じて簡易睡眠検査などを行い、診断につなげます。
検査結果や患者様の状態によって異なります。
簡易検査で治療方針を決められる場合もありますが、詳しい睡眠検査が必要な場合は、専門医療機関でPSGを受けていただきます。
必ずしも一生使い続けると決まっているわけではありません。
体重減少などによって病状が改善し、治療を見直せる場合もあります。
ただし、CPAPを使用しないと無呼吸が再び現れることがあるため、自己判断で中止せず、必要な再評価を行うことが大切です。
当院ではCPAP療法の継続管理を行っています。
現在の治療内容、機器の契約状況、検査結果などを確認する必要がありますので、転院をご希望の方は事前にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群は、いびきや日中の眠気だけでなく、高血圧症、糖尿病、肥満など、さまざまな健康上の問題と関連しています。
また、患者様自身が睡眠中の無呼吸に気づいていない場合もあります。
当院では、一般内科・消化器内科・肝臓内科の診療に加え、多くの鎮静内視鏡検査を行っています。
そのため、日々の診療や検査を通じて、睡眠時無呼吸症候群の可能性について考える機会があります。
「患者様が気づいていない病気にも、日々の診療から目を向ける。」
そして、必要な睡眠検査と適切な治療につなげること。
これが当院の睡眠時無呼吸症候群に対する診療方針です。
いびきや睡眠中の無呼吸を指摘された方、日中の眠気が気になる方、生活習慣病があり睡眠時無呼吸症候群が心配な方は、どうぞご相談ください。
※当院は原則予約制です。受診の際はWEB予約をご利用ください。
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